第40回日本看護歴史学会学術集会
The 40th Annual Meeting of Japan Society of Nursing History
集会長挨拶
日本看護歴史学会 第40回学術集会開催にあたって
第40回学術集会のテーマは
「ナイチンゲール研究から未来を展望する
ー今、ナイチンゲールが熱い in Mishimaー」です。
日本看護歴史学会は、1987年1月に、日本で唯一の看護の歴史を学術的に研究する学会として設立されて以来、看護の専門領域によらない、広範な看護の歴史の営みを研究し、未来の方向性と可能性を拓いてまいりました。本学術集会は、そのような研究成果を持ち寄り発表し、情報交換と交流の場として、年1回開催されています。
本学術集会は第40回を迎え、県内および三島開催は初めてです。市民公開講座では、歴史ある三島文化を探り、講演発表、交流集会の場として研究力向上、学術誌への投稿奨励を目指し、静岡県東部地区の歴史研究に貢献したいと考えています。
西暦2020年5月12日にナイチンゲール生誕200年を迎えました。これを祝し、全世界的規模でナイチンゲール自身の著作および彼女にまつわる関連書籍が刊行されています。
ところが、2020年当時は世界的なCovid-19パンデミックの真っ最中であり、日本においても緊急事態宣言が出され、不要不急の外出は禁止され、多くの方が亡くなられています。奇しくもナイチンゲールがクリミア戦争で体験した3密を避ける、ソーシャルディスタンスを保つ、手洗い、換気、栄養などが時代を超えて再認識され、さらにイギリスでは「NHSナイチンゲール病院」としてイーストロンドンに彼女の名を拝した野戦救命救急病院が建設されたことも記憶に新しいでしょう。
2020年以降、日本でも「ナイチンゲール生誕200年記念出版」として続々とクリミアの天使という一般的なイメージを越境したナイチンゲールの多面性とそれゆえの人間的魅力が多くの研究者らによって様々な角度から描かれています。2026年現在、世界中のパンデミックが落ち着きを取り戻し、ナイチンゲールのイメージ自体が「クリミアの天使」「近代看護の母」「白衣の天使」という少女伝記のイメージを飛び出して、これまでの価値を超えた新たな「黒衣の」「永遠の今を生きる」ナイチンゲール像(実際に彼女がいつも着ていたのは黒衣だった)についてナイチンゲール研究者たちに思う存分語っていただき、既存の価値を超えた新たなナイチンゲールの価値の創造を目指したい。細菌が未だ発見されていない時代に、微生物が引き起こす感染症と闘った、時代を先取りした観察力・行動力によって、時代に抵抗する彼女の姿勢から未来を展望しよう!
今回の学術集会のプログラムでは「教育講演」「シンポジウム」「理事セッション」「市民公開講座」を企画しております。
パンデミックや核や戦争の脅威の消えない世界のなかで、「誰もがいつかは誰かの健康に責任を負うとき、すなわち看護師になるときがくるだろう」と書いたナイチンゲールについて、誰もが興味を持っていただけることを切に願っております。

2026年8月 日本看護歴史学会 第40回学術集会
学術集会長 小川 典子

